ラグビー日本代表はトンガ代表とテストマッチをしましたが、その試合内容について初心者にも分かりやすいよう解説・分析します。また、試合内容を踏まえてラグビーワールドカップに向けた展望についてもコメントします。
結果
ラグビー日本代表は、11月18日深夜にトンガとテストマッチを行い、レメキ・ロマノ・ラヴァの2ゴールなどで、39-6でトンガに快勝しました。2019年ワールドカップで対戦する可能性が高いサモアを想定した試合に快勝したことで、今後に弾みのつく結果となりました。
- 国代表同士の公認試合。
- 代表戦の試合強度が最も高いため、他の試合と区別するために「テストマッチ」と呼ぶ。
- サッカーで言う「公式試合」に近いが、体をぶつけ合うことが多いため試合強度の重要性がより高い。
- ニュージーランド出身の日本人(日本国籍取得)で、日本国内の2部リーグ(トップチャレンジリーグ)のホンダ・ヒートに所属。
- ラグビーには1チーム15人以外にもオリンピックのある7人制(セブンズ)などの競技があるが、セブンズ日本代表でリオ・オリンピックに出場し4位になったときの中心メンバー。
- 身長は177cmと小柄だが、強豪相手にも当たり負けしない体幹・フィジカル、切れのあるスピード、自在なステップで相手を翻弄。
内容
世界ランキング11位の日本代表が、14位のトンガ代表と対戦しました。
前半開始直後、日本代表は幸先よくレメキ・ロマノ・ラヴァのトライで先制。その後、度重なるミスからペナルティゴール2本で失点。試合の流れがトンガに行くかに思えた28分、トンガの選手がペナルティを繰り返したことによりシンビンで一時退場しました。
- 危険性の高い、もしくは度重なるペナルティによりイエローカードを提示されること。
- イエローカードを提示されると10分間の一時退場となる。
- 一時退場となることで試合の流れが大きく変わるため、サッカーに比べてイエローカードにより慎重にプレーする傾向がある。
シンビンで1人少ない状況の中、人数の利を生かせるラインアウトなどで効果的なプレーをし、アマナキ・レレイ・マフィ、リーチ・マイケルがトライ!
前半を27-6で折り返しました。

- ボールがフィールド外に出た後に行われるセットプレー。
- 両チーム毎に1列に並び対面した状態で、ボールを真ん中に投入する。
- ボールを投げる選手が距離・高さを調節できるため、ボールを再確保する可能性が高い。
後半、トンガが息を吹き返し猛攻を仕掛けたためディフェンスに回る時間が多くなってきましたが、要所でレメキ・ロマノ・ラヴァ、福岡がトライ。
結果的に計5トライを獲得するとともにトンガをノートライに抑え快勝しました。
分析
ラグビーワールドカップで日本と同組になる可能性が高いサモアを想定した試合に快勝したことで、本大会に弾みのつく結果となりました。2015年ワールドカップ1か月前に対戦した時に20-31で敗れた相手に快勝できたことは、4連敗中の日本代表・サポーターにとって大きいです。
一方、日本が目標としているベスト8に入るためには、さらなる強豪国(アイルランド・スコットランド)に勝つ必要があり、そのテストとしては少し物足りない対戦相手のため、内容が求められる試合でした。2週間前に世界ランク3位のワラビーズ(ラグビー15人制オーストラリア代表の愛称)と対戦し30-63で敗れましたが、そこで課題となっていたディフェンス面についてトンガ戦ではノートライに抑えられました。ただし、内容を見ると対戦相手がティア1だったらトライを取られていたと思われるシーンが何度もあり、引き続き課題の残る結果となりました。
- 伝統的な強豪チーム
- シックス・ネーションズ(欧州国別対抗戦)とラグビーチャンピオンシップ(南半球国別対抗戦)に出場している計10チームを指す。
- ティア1はティア1同士の国別対抗戦が多く組まれる年間スケジュールになっているため、ティア2で実力が劣ると見られていた日本がティア1とテストマッチをするのは2015年ワールドカップまでは難しかった。
- 2015年のワールドカップでの日本の活躍により世界各国が日本を強豪国とみなしてきたこと、2019年のワールドカップは日本で開催することもあり、今年・来年はティア1と多く対戦するスケジュールを組むことができた。
特に、タックルの精度については、フィジカルの強いトンガ相手に外される場面がありさらなる改善が必要です。タックルを改善するためには、2015年ラグビーワールドカップでエディ・ジョーンズが作り上げた世界一のフィットネスを取り戻す必要があるでしょう。キャプテンのリーチ・マイケルも早朝練習の復活を提案するなど危機感を抱いているため改善に向かって動き出していますが、すぐに結果に結びつくところではないため継続的な取り組みが重要になってくるでしょう。
また、キックの精度・判断力向上についても継続して改善が必要です。キックをした結果、相手にボールをただ渡してしまうシーンが散見されました。エリアを回復するためのキックなのか、攻撃するためのキックなのか使い分けようとする意識は向上してきましたが、蹴りたい場所にボールをけれなかったり・ボールにプレッシャーをかけてくる相手含めてのキックタイミングの判断が遅かったりする部分があるので、こちらについても継続的に改善していく必要があります。
一方、良かった点としては、ディフェンスでも具智元・ヴァルアサエリ愛のプロップが期待通りの活躍を見せてくれた点です。具智元は、スクラムが非常に強く、相手からペナルティを取るシーンが複数回ありました。ヴァルアサエリ愛は、粘り強いタックルが効果的で、終盤のトンガの猛攻を防いだ立役者となりました。ラグビー2015年ワールドカップ後、プロップは人材難でしたが二人のプロップに目途が立ったことは今後のディフェンスシステム改善に向けいい材料です。

- 軽いペナルティの時に、1チーム8人で組になって押し合うこと
- 体制を崩さない状態で、投入されたボールを保持する必要があり、ペナルティすれすれのところで駆け引きがある。
- 日本はスクラムが苦手だったが、2015年まではマルク・ダルマゾコーチ、それからは長谷川コーチの献身的な指導もあり、強豪国と勝負できるレベルになっている。
- スクラムの時に最前列で相手と組対する3人のうちの、外側の2人
- スクラムで最もフィジカル・技術を必要とするポジション
その他、ワラビーズ戦で活躍した選手はトンガ戦でも継続して力を示しましたが、今回はコメントは差し控えます。
まとめ
4連敗中の日本代表が久々に勝利し、2019年ラグビーワールドカップでグループリーグ3位以内に入る実力があることを示すことができました。
人材難だった具智元・ヴァルアサエリ愛の両プロップに目途が立ったことは、非常にいいニュースです。
最大の課題だったディフェンス面、特にタックルについては、スコア上は相手をノートライに抑えることができたこともあり前回から改善が見られました。ただし、対戦相手がティア1となると今回のディフェンスでは物足りない面が多く引き続き課題になります。一朝一夕でできるものではないが、特にタックルの精度向上が必要です。タックルの精度向上にはフィジカル(フィットネス)向上も必要です。加えて、相手にボールを渡した後に失点に直結させないためにも、キックの精度・判断力の向上が必要です。
- タックルの精度向上
- フィジカル(フィットネス)向上
- キックの精度・判断力向上
次週、ティア1のフランスと試合をするので、そこでどこまで通用するのか本大会を睨んだ試金石となります。
こうご期待!
最後に
ブログ「たーぼーる」の初めての投稿を見ていただいてありがとうございました。
これからも随時記事を増やしていきますので、よろしくお願いします。
また、初心者の方がわかりやすいように、初めて出た用語については解説します。
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