初心者に贈る「ラグビーフランス代表戦」の結果分析

ラグビー日本代表がフランス代表とテストマッチをしましたが、試合の結果・内容の分析・今後の展望についてお届けします。

結果

世界ランキング11位の日本代表が8位のフランス代表と11月25日深夜にフランスのUアリーナでテストマッチをし、23-23で引き分けました。2015年ラグビーワールドカップの南アフリカ戦での勝利以来となる、ティア1に対しての勝利が期待されましたが、同点トライ直後のコンバージョンゴールを外し、引き分けに終わりました。試合内容としてはフランスを上回っていただけに、負けを取りこぼし悔いの残る試合となりました。ただし、客観的にみるとティア1との試合で引き分けの結果は悪くないため、ワールドカップに向かって弾みのつく結果となりました。

コンバージョンゴール

  • トライ獲得後に行われるボーナスポイント獲得のためのゴールキック
  • キックに成功すると2点が加算され、トライの5点と合わせて計7点の得点を獲得できる。
  • コンバージョンゴールのキック位置はトライした位置から決めらるため、インゴールに入ってもゴールポスト方向に向かって走りトライする姿が見られる。

内容

世界ランキング11位の日本が、9位と格上のフランスと対戦しました。

前半4分、ゴール手前の位置で日本がペナルティを獲得、田村がペナルティーキックを成功、幸先よく3点を先制しました。

前半13分、ハーフウェイライン付近からフランスがペナルティを獲得、距離があり難しいキックでしたがフランソワ・トゥランデュクがペナルティキックを成功、3点を返し3-3としました。効果的なボールキープと粘り強い守備ができたためフランスにトライを割らせず、前半22分堀江のトライで逆転しましたが、その後のコンバージョンゴールは失敗に終わりました。その後、トライ寸前での立川のビックプレーでトライを割らせませんでしたが、トライが難しいと判断したフランスは前半29分にフランソワ・トゥランデュクが危なげなくペナルティキックで得点を加算していきます。加えて、前半終了間際の39分、ラインアウトからの力技でラバ・スリマニがついにトライを獲得、その後のコンバージョンも成功します。

フランソワ・トゥランデュク

  • 2011年ラグビーワールドカップの準優勝も経験している、フランス代表のスタンドオフ(司令塔)のスター選手
  • 広い視野で高精度のパスを供給できるところが特徴

結果、8-13とフランスが逆転して前半を折り返します。

後半開始直後の41分、流大のテンポの良い球出しを起点にフェーズを重ね、9フェーズ目でラファエレ・ティモシーがトライ、コンバージョンゴールも決まり、15-13と日本が逆転。48分、フランスもフランソワ・トゥランデュクからのワールドクラスのロングパスをキャッチしたガブリエル・ラクロワがトライ、その後のコンバージョンも成功し、15-20でフランスが逆転。その後、フランスがシンビンで一人少なくなったものの日本は有利な状況を活かせず、62分の日本のペナルティキック、67分のフランスのペナルティキックと両者3点ずつ獲得するにとどまり、点差は縮まらないまま28-23となりました。このまま終了するかに思われた72分、スクラムからの攻撃でヴァルアサエリ愛がトライし同点に追いつくものの、田村がコンバージョンゴールを失敗。結局このままノーサイドとなり、28-28の引き分けで終了しました。

分析

世界ランキング11位の日本が9位と格上のフランス相手に引き分けることで、ティア1と対等に戦えることを示せたためワールドカップに向けて弾みのつく試合となりました。ただし、試合内容自体は日本が上回っていただけに悔いの残る結果となりました。そこで、今回は良かった点、悪かった点を分析していきます。

まず、前回のトンガ戦で改善の兆しが見えたディフェンス面ですが、今回は非常に良かったと思います。基本的には相手を前進させませんでしたし、防御網が乱れビックゲインされたところも素早くケアができ、トライに直結するプレーを3回ほど防ぐことができました。相手にトライされたシーンは、スーパープレーが飛び出すなど防ぐことが難しいシーンですし、与えた点数23点から見ても及第点です。また、前回の記事で注目ポイントの一つとして紹介したスクラムも前半は互角にできましたし、練習してきたモールディフェンスについても何度もモールの機会がありましたが、トライを防ぐことができました。

初心者に贈る「ラグビーオーストラリア代表戦」の結果分析

2017.11.25

課題としては後半のスクラムです。スクラムが強い具智元がいる間はなんとか耐えましたが、ヴァルアサエリ愛に交代した後はペナルティを複数回取られていました。ヴァルアサエリ愛はその後トライも取ったので全体的なパフォーマンスは良かったと思いますが、具智元がいない状況でのスクラム強度については今後改善していく必要があります。

ビッグゲイン

  • ボールを味方にパスした地点(ゲインライン)から前に大きく(ビッグ)前進すること
  • 例えば、スクラムではスクラムの球出しポイントから前に前進できたかがわかれば、ゴールに近づく効果的な攻撃ができているかわかるため、前進した場合をゲインしたと呼ぶ

続いて攻撃面です。前回の記事で紹介しましたが、オーストラリア戦も含めここ3戦で平均32点得点しています。それに対して今回は23点に留まったため、勝利できなかったと分析しています。つまり今回の最大の課題は攻撃面です。

具体的な理由を探るため、日本の得点に結びつくシーンを以下の表にまとめました。コンバージョンゴールを2回失敗した点がわかりやすい原因です。フランス代表のキッカー、フランソワ・トゥランデュクの精度の高いキックと比較をすると今後改善が必要なことは明らかでしょう。ただし、勝利はできるもののこれだけでは過去3戦の平均得点32点には及びません。

時間(分) 得点者 内容 成功?
4 田村 ペナルティ
22 堀江 トライ
22 田村 コンバージョンゴール ×
41 ラファエレ・ティモシー トライ
41 田村 コンバージョンゴール
60 シンビンで数的有利(~70分)
62 田村 ペナルティキック
72 ヴァルアサエリ愛 トライ
72 田村 コンバージョンゴール ×

もう一つの原因はシンビンで数的有利になっているのにも関わらず、その時間帯に相手より多くの点を獲得できなかったところにあります。シンビン対象がバックスの選手で影響が少なかったからと考える人もいると思いますが、そうは思いません。防御網は常に一人少ない状況となるので、手薄のところを突けば効果的な攻撃ができます。62分のペナルティもゴールキックにせず、トライを狙いに行くという方法もあったはずです。もちろん、62分のペナルティキックのおかげで今回引き分けに追いつけたこともあり、先を見越してのよいリスクマネジメントだと思いますが、その他のシーンでも同じように徹底的に防御網の穴をつく攻撃があってもよかったのではと分析しています。

バックス

  • バックスとは、スクラムを組まないメンバー
  • フォワードに比べると、体のぶつけ合いが少なくフィニッシャー(トライを取る人)の役割が大きいことから、軽量級の選手が多いのが特徴。
  • ラグビー15人チームは、フォワード8人・バックス7人で構成される

今後の展望

今回の試合結果を受けて、2年後日本代表は8強になれるかを中心に今後の展望についてみていきます。前回の記事で、日本代表が8強になるためには来年予定されているTop2のニュージーランド・イングランドとの試合で腕試しができるレベルまで成長しておく必要があり、そのためにはフランス戦で互角の試合・勝利が必要になるとコメントしました。結果として引き分けに終わりましたが、フランスと互角以上の試合ができただけでなく今までよりもレベルの高い課題も発見できたため、8強への望みは繋げられたと考えています。

また、強豪相手に限りなく勝利に近い引き分けにできる実力を示したことで、ワールドカップに向け国内世論は盛り上がりを見せていくでしょう。今年のテストマッチはこれで終了ですが、日本代表選手の成長を継続的にウォッチするにあたり、代表監督のジェイミー・ジョセフHCが指揮を執るスーパーラグビーチーム・サンウルブズの試合についても今後見ていきます。

まとめ

世界ランキング11位の日本が9位と格上のフランス相手に引き分けることで、ティア1と対等に戦えることを示せたため、ワールドカップに向けて弾みのつく試合となりました。試合内容としても押し気味で、前回から課題に挙がっていたディフェンス面の課題についても及第点を与えられる出来でした。

一方、勝ちきれなかったことで、これまでより一段レベルの高いアタック・ディフェンス両面の課題も出ました。アタックの課題はゴール精度の向上とシンビン中の戦い方です。ディフェンスの課題は具智元が後退した後のスクラムです。これらを今後改善していければ、来年予定されているTop2のニュージーランド・イングランドとも腕試しができるレベルまで成長し、最終的にはワールドカップ8強になれると思います。

そのためには、代表監督のジェイミー・ジョセフHCが指揮するサンウルブズで選手はレベルアップする必要があり、ブログ「たーぼーる」も動向を逐一ウォッチしてきます。

いけるぞ!日本!