ラグビー日本代表がフランス代表と11月25日深夜にパリ郊外のUアリーナでテストマッチをしますが、11月4日に行われたオーストラリア代表戦を分析することで、格上のフランスに勝つためのポイントを整理します。
日本代表
まず、最近の日本代表の試合から傾向を分析します。
今秋のテストマッチシーズンの試合は、世界選抜との試合も含めると計3試合ありましたが結果は以下のとおりです。得点は3試合とも大きなバラつきなく平均で32点とれています。また、「成長することが前提だが、チームとして攻撃面は足りている」とジェイミー・ジョセフHCがオーストラリア代表戦後にコメントしたように、秋のテストマッチシーズンで得点が大幅に増える可能性は小さいです。つまり、フランス代表に勝つためには失点を31点以内におさめることが条件になります。
A | スコア | B |
日本 | 27-47 | 世界選抜 |
日本 | 30-63 | オーストラリア |
日本 | 39-6 | トンガ |
では、日本代表はどんなシーンで失点しているのでしょうか。日本にとって格上で世界3位のオーストラリア戦について、得点シーンを表に整理しましたので、見てみましょう!
計9トライされていますが、このうち現時点で対策済みのものを〇、対策中のものを△、対策できていないものを×としています。簡単なタックルミス・判断ミスについては、トンガ戦である程度防ぐことができましたので、〇としました。次に△についてです。ラインアウト後にポイントを少しずらしてランする相手に対してマークが外れるパターンについては、世界選抜戦でも同様の失点をしましたので対策してくると考えています。モールディフェンスについてはフランス戦に向けて練習しているようです。
得点者 | 原因 | 防げるか? |
サム・ケレヴィ | ディフェンスが中央によってしまい、外側に人が足りず失点 | × |
ヘンリー・スパイト | ラインアウト後、ポイントをずらしてランする相手に対してマークが外れる | △ |
タタフ・ポロタナウ | モールからの力技 | △ |
テヴィタ・クリンドラニ | 防御網の乱れ・タックルミス | 〇 |
テヴィタ・クリンドラニ | 防御網の乱れ・オフロードパス | × |
サム・ケレビ | タックルミスからのオフロードパス | 〇 |
テヴィタ・クリンドラニ | セットプレーからのオフロードパス | × |
ニック・フィップス | オンゴール付近での判断ミス | 〇 |
ロブ・シモンズ | 簡単なオフロードパス | × |
- タックルを受けながら味方にパスをすること
- タックルをした相手を外すことができるため、非常に効果的なパスとなる。
これらの対策がすべてうまくいけば、理論上は格上のオーストラリア代表を4トライに抑えて、30-28でオーストラリアに勝利となります。もちろん接戦だったら、オーストラリアは別の方法で得点を狙うと思いますので、こちらのケアも必要になります。具体的には、失点はしなかったけどペナルティを与えてしまったシーンは、ペナルティゴールを狙ってきたと思います。
今回ペナルティが多かったところはスクラムです。スクラムはオーストラリアに完全に組み負けていて、少なくとも3回はペナルティを与えていました。プロップのところでペナルティを与えてしまった印象です。ではどうするのかというと、トンガ戦の記事でコメントした通りスクラムが強い具智元が鍵になります。フランス代表戦の先発メンバに入っていますので、互角にできるのではないでしょうか。
分析した通りにディフェンスができれば世界ランク3位のオーストラリア代表と互角の戦いができると思いますので、次は対戦相手のフランス代表に置きかえて考えてみましょう。
フランス代表
今秋のフランス代表のテストマッチを見てみましょう。
フランスは2連敗していますが、対戦相手は世界1位のニュージーランド、5位の南アフリカと強豪です。ただし先ほど日本代表の分析でコメントした通り、3位のオーストラリア代表と互角の戦いができればフランスには勝利できると考えています。
A | スコア | B |
フランス | 18-38 | ニュージーランド |
フランス | 17-18 | 南アフリカ |
日本がフランスに勝つためには先ほど説明した通り失点を30点以内に抑える必要がありますが、フランスはどのような得点パターンが得意でしょうか。直近の試合の得点シーンを整理しました。得点シーン自体が少ないですが、特徴的な得点パターンが2つあります。オフロードパスからのトライとペナルティキックです。
◆南アフリカ | ||
得点者 | 内容 | 防げるか? |
ベロー | ダミーパスからのランで防御網を乱れさせる | △ |
セリン | オフロードパスを何度も繋げる | × |
ベロー | ペナルティキック | – |
◆ニュージーランド | ||
得点者 | 内容 | 防げるか? |
トーマス | オフロードパスから何度もパスをつなげる | × |
Penalty Try | インゴール内での相手のペナルティ | 〇 |
ベロー | ペナルティキック | – |
オフロードパスからのトライは世界的に主流になっていて、日本代表のオーストラリア戦を見てもこのパターンで3トライを献上しています。今週末のフランス戦でもオフロードパスを繰り出してくると思いますが、短期間で対策ができるほど簡単なものではないため、今回は割り切ってこれ以外のパターン(特にペナルティキック)を防ぐことを考えましょう。
ペナルティキックについて、先ほどオーストラリアとの試合でコメントしたように、スクラムでペナルティを与えないことが必要です。2015年ワールドカップで日本代表のスクラムコーチだったダルマゾの母国でもあるフランスは、伝統的にスクラムにこだわりがあります。先発で起用する具智元がスクラムの鍵となりますので要注目です。試合でスクラムに組み負けないようであれば、十分勝利できるのではないでしょうか。
まとめ
日本代表・フランス代表それぞれの直近の試合を分析したところ、スクラムが勝敗を左右することが分かりました。特に先発で起用する具智元がスクラムの鍵となるので、試合では注目したいです。
先週のトンガ戦でディフェンス面に改善が見られましたが、フランス戦でも継続して成長しスクラムでも組み負けないようであればフランス相手にも十分勝機はあるはずです。
キックオフは日本時間26日4時45分と早朝の時間帯になりますが、みんなでしっかり応援しましょう!
頑張れ、日本!